2011年06月12日

腸管出血性大腸菌とその感染症について、微生物学の試験対策

腸管出血性大腸菌とその感染症について説明せよ(微生物学的観点から)

試験の解答のつもりで書いてみます。
(堅苦しいので一般の方はスルーしてください。)

腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E.coli:EHEC)とは、ベロ毒素(志賀毒素)遺伝子を持つ病原性大腸菌の総称であり、ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)あるいは志賀毒素産生性大腸菌(STEC)とも呼ばれる。

志賀毒素は本来、志賀潔が発見した赤痢菌の持つ毒素であるが、遺伝子配列を比較すると赤痢菌は大腸菌の一部とみなされるほど良く似ている。

このため、赤痢菌と大腸菌が混在した際にプラスミドベクターを介して赤痢菌から大腸菌に毒素遺伝子がtransfectionされたものと思われる。

ベロ毒素は2種類知られていて、1型は赤痢菌の志賀毒素とほぼ同じ遺伝子配列を、2型は志賀毒素との相同性は55%である。

(つまり2型毒素は志賀潔の発見した赤痢菌とは異なる細菌由来の毒素であると思われる。)

ベロ毒素は腸管上皮細胞にβサブユニットで細胞表面の糖脂質受容体Gb3に付着してαサブユニットを細胞内に注入する。

αサブユニットはリボゾームRNA(60Sリボゾーム)と結合して、蛋白合成を阻害することで細胞のタンパク合成を阻害して細胞死に至らしめる。

Gb3をたくさん発現している細胞には腸管上皮細胞以外に、血管内皮細胞と神経細胞がある。

このために、ベロ毒素で障害を受けて腸管上皮細胞と腸管の血管内皮細胞が細胞死を起こし、出血性の下痢が起こる。

また、血管内皮細胞が障害を受けることで微小血管が詰まり、赤血球が破砕されてさらに血管が詰まり、これが腎臓の毛細血管で特に強く起こることで溶血性尿毒症症候群(HUS)という腎障害が誘発される。

799px-Schizocyte_smear_2009-12-22.JPG

また、神経細胞が障害を受けることで、けいれんや意識混濁などの様々な神経症状が出ると考えられているが、この中には脳の血管内皮細胞が障害を受けることによる血栓症の影響も含まれている。

抗生剤は大腸菌を速やかに死滅させることができるが、細菌数が増えている状態でこれを行うと、ベロ毒素や最近の細胞壁のエンドトキシンなどが一斉に放出され、HUSがより高率に誘発されると考えられている。
posted by HUS-EHEC at 23:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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