2011年06月07日

溶血性尿毒症症候群(HUS)に女性はなりやすいのです。

ヨーロッパのO104には女性がかかりやすいのかという疑問から、溶血性尿毒症症候群の統計を調べたのが前の記事です。

前の記事が長すぎたので分けましたが、統計の詳細は前の記事を見てください。

 ⇒O104の特徴「女性で発症者が多い」


ここではまとめと私の意見を述べます。

以上の2008年から2010年の日本でのHUSの臨床統計を全部比較して見てわかるのは、

1.毎年4000例以上の腸管出血性大腸菌感染症が認められていること

2.感染確認者の約70%が有症者である(下痢など何らかの症状がある)こと

3.有症者の3%強(30人に1人)がHUSを発症していること

4.男女比はおよそ1:1.6で、女性にHUS発症者が多いこと

5.HUSの発症者は小児が圧倒的に多いこと

でしょうか。


EHEC感染者の中での男女比は、ここで見つけた統計ではわかりません。

ですが、HUSを発症している人(重症化している人)は明らかに女性の方が多いことがわかります。


ということは、新型である理由の一つのように騒がれているヨーロッパのO104が女性患者が多いということ、これは新型の特性ではないのではないかと思えます。

なぜなら、上にあげたようにふつうのO157感染症でもHUSになり易いのは女性であり、成人の場合はさらに女性が多いことがわかります。

もともと「成人では、古典的なEHECであるO157の感染が重症化し易いのは女性」と考えていいのです。


ヨーロッパのO104感染の場合、有症者の30%以上がHUSになっているということからすると、重症化率が高い強烈なEHECであることは間違いない。

そんな菌に感染すれば、もともとのO157の持っていた「成人では、古典的なEHECであるO157の感染が重症化し易いのは女性」という状況がより濃く反映されるだけなのです。


ということで、O104が新型である理由の一つに女性が発症しやすいというのは、これ、過去の疫学統計を良くみてない医療関係者の勘違いだと思います。

もちろん、女性が男性よりもさらに気をつけるべきであることには違いありません、ただし、O104に限らず、O157なども含めたEHEC全体について気をつけるべきです。


どうして女性で発症者が多いのかですが、シンプルに思いつくのは解剖学的な違いです。

女性は尿道口が肛門に近く、尿道も短いためにさまざまな細菌感染による尿道感染が起こりやすいのです。

腎盂腎炎の発症比率は男女比1:30という統計もあります。

と言うことから、汚い話で申し訳ありませんが、下痢便による尿道感染から腎臓内の上皮細胞や血管内皮細胞にEHECが取り付く可能性もあるのではないでしょうか?


そうでないよ、EHECによるHUSは血行性に流れ込んだ毒素によるものだよ、というのであれば、

腎臓の毛細血管内皮に発現しているベロ毒素の受容体となる分子の発現量に男女差がある(女性で多く発現している)のではないでしょうかね。

妊娠中に上昇する血流はかなりのものですから、もともと女性の方が腎機能は強くできているのではないでしょうか?

それで高性能な毛細血管内皮となっているのが徒となって毒素が入ってきたときにたくさん取り込んでしまい易いと。

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新型腸管出血性大腸菌O104の特徴「女性で発症者が多い」?

ドイツで流行中の新型大腸菌O104の報道で、それが新型だと言われる理由の一つに気になることがありました。

成人が発症しやすいことと、女性が発症しやすいことです。

これまでに発症したとされる人の86%が成人で、66%は女性なんだそうです。

このO104にどうして成人が感染して発症しやすいのか、どうして女性がそうなり易いのかについてはまだ分からないそうです。


それって、じゃあ、これまでよく知られていたO157ではどうなんだろうか?

そして、HUSに限って言えばどうなんだろうか?

そういう疑問が頭をもたげてきましたので、国内でO157感染症の発症症例数や男女比などを調べてみました。


国立感染症研究所感染症情報センターのホームページにデータがありました。

2010年の疫学統計データですね。

感染症発生動向調査からみた腸管出血性大腸菌感染症における溶血性尿毒症症候群、2010年

長いので関連する部分をピックアップしてみます。

HUS発生状況
感染症発生動向調査に基づき2010年(診断週が2010年第1〜52週)にはEHEC感染症は4,134例(うち有症状者2,719例:66%)の報告があり(2011年4月27日現在)、HUSの記載があったのは92例(有症状者のうち3.4%)で、報告数および発症率は2008年と同様であった。
性別は男性36例、女性56例で女性が多かった(1:1.6)。


HUS感染者は4300人以上も報告されていたのですね。

そのうち有症者は2719例で、さらにそのうち92例がHUSを発症しています。

そして男女比で見ると女性が多いですね。

そして、これがグラフにされているのを見てぎょっとしました、これ見てください。

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おわかりでしょうか、成人に限ってみれば、HUS患者のほとんどが女性なのです。

標準的なO157に感染した場合でも、成人の場合、女性が重症化し易いという傾向があると言うことではないでしょうか?


気になったので2009年と2008年の統計データも視てみました。

2009年にはEHEC感染症は3,888例(有症状者2,607例)の報告があり、 HUSの記載があったのは83例(有症状者のうち3.2%)だそうです。

このうち、女性の比率をと探してみたところ、31:52=1:1.67となり、2010年と同様に女性の方がHUSを発症しやすいようです。

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残念ながら2009年の年齢別統計グラフには男女の内訳は記載されていませんでした。


さらに2008年についてみると、

EHEC感染症4,322例中、HUSの記載があったのは94例(有症状者の3.3%)で(表)、 2006年102例(同4.1%)、2007年129例(同4.2%)2) と比較して、報告数は少なく、発症率は低かった。性別は男性39例、女性55例で女性が多かった。

と言う記載でした。

dt35111.gif

そしてこの年も残念ながら、年齢別の男女比は報告されていませんでした。


で、結論と言うか推測ですが、長くなり過ぎなので次の記事に続きます。

 ⇒溶血性尿毒症症候群(HUS)に女性はもともとなりやすい

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2011年06月06日

ヨーロッパの新型腸管出血性大腸菌O104によるHUS発症者は拡大の一途との報道

ドイツ北部を中心に感染が拡大しているEHEC(腸管出血性大腸菌)O104について、ニュースを読めば読むほどこれ、怖いですね。

怖さの理由はいくつかありますが、ひとつは感染力が強いことです。

これはどうも、血管内皮細胞と言う、血管の内側を覆っている細胞にくっつく力が強いようだということが理由の一つのようです。

HUSに関する説明の中で書く予定ですが、EHECが作りだす毒素は血管内皮細胞にくっついて細胞内に取り込まれてタンパク合成経路を遮断してしまうのです。

さらに、この新型O104というEHECは、血管内皮細胞にくっつき易い物質の遺伝子配列も持ってるようなのです。

だから体の中に入ってしまうとHUSを発症する人がO157などに比べて多くなるわけです。


***ここからYahoo!ニュースです***

欧州で大腸菌感染の死者増え19人、発症は2千人以上

CNN.co.jp 6月5日(日)16時21分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110605-00000015-cnn-int

(CNN) 欧州で拡大している病原性大腸菌の感染問題で、世界保健機関(WHO)は3日、犠牲者は19人、感染者は少なくとも12カ国で2000人以上に達したと報告した。感染のピーク時の終了については判断出来る段階でないとの見解も示した。

死亡者はドイツで18人、スウェーデンで1人。ドイツでは12人が溶血性尿毒症症候群(HUS)に、6人が腸管出血性大腸菌(EHEC)に感染して死亡した。WHOによると、ドイツでのHUSの発症例は計573件。過去に世界で記録されたHUS感染の流行での件数を上回る規模となっている。EHECのみの発症例は推定で計1428件。

***ここまでYahoo!ニュースです***

WHOの発表でもう一つ怖いのが、このO104は多剤耐性であることです。

アミノグリコシド系とかβラクタム環開裂系とか、いくつかの抗生剤への耐性遺伝子を持っているようなのです。

だから、治療も難しい。


もっとも、もともとこういう毒素を産生するような細菌感染症の場合、抗生物質を簡単に使うわけにはいかないのです。

なぜなら、強い抗生剤を使うと細菌が一斉に死ぬことで細胞の中から様々な毒素が一斉に溢れ出してきて、それが凝固系を破壊してDIC(播種性血管内凝固症候群)という状態を導き出すことがあるからです。

だから菌を殺すと言うよりも大人しくさせる抗生剤の方が好ましいのですが、それに対する耐性を持っているという困った大腸菌なのですね。


ではどうすればいいのか、感染源は野菜ではないかと言われています。

***ここからYahoo!ニュースです***

発症例はオーストリア、チェコ、デンマーク、フランス、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スイスと英国で報告されている。感染源は特定されていないが、スペインで有機栽培されたキュウリで菌が検出され、このキュウリがドイツでパック詰めされ、欧州諸国に出荷されたとの情報もあった。

ドイツの疾病対策の連邦機関、ロベルト・コッホ研究所は国内消費者に生のトマト、キュウリやレタスを食べないよう勧告。米食品医薬品局はドイツやスペインから輸入されたこれらの野菜3品を国内販売の前に検査し、結果を欧州連合(EU)にも伝える方針。

***ここまでYahoo!ニュースです***


ヨーロッパに行ったら生野菜、サラダを食べないようにしてください。

肉料理の付け合わせにフレッシュトマトやレタスがついてきても、それも食べないでください、と言うよりもそういう料理が出てきたら再加熱してもらってください。

ヨーロッパに行って焼き加減を聞かれたら、

「Everything welldone, please.」

でいきましょう♪


・・・・行きたいけど旅費がたまらない〜(^_^;)。
posted by HUS-EHEC at 02:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュースにひとこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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