2011年06月19日

腸管出血性大腸菌感染の症状を軽くする方法について


腸管出血性大腸菌感染症は次第に症例数が増えてきているのが世界的な傾向です。

しかも今年、2011年のドイツのO104のようにそれまで危険とは考えられていなかった大腸菌が一気にいくつもの新しい能力を獲得してアウトブレイクを引き起こすことがあります。

大腸菌、あるいは大腸菌と近縁の細菌同士が同じ環境にいた場合、遺伝子ベクターの役目をするプラスミドによって簡単に遺伝子の受け渡しが行われるために、大腸菌はどんどん変化します。

だから、同じ腸管出血性大腸菌と言っても少しずつその感染症状が変わって行ってるんですね、O157:H7だと判断されたとしても、それが昨年流行った腸管出血性大腸菌かどうかは分からないのです。


また、抗生剤の使用はタイミングを間違えると溶血性尿毒症症候群をかえって引き起こしやすくすることから、使用には慎重にならざるをえません。

薬剤耐性遺伝子を持つ大腸菌が増えているのも最近の傾向で、感染早期に薬物治療で何とかすると言う方法はこの細菌感染症には使えないと思うのが正解です。

ではどうすればいいのでしょうか?


ひとつには感染しないように予防することですね、生食を避けると言うことです。

そして、手洗いをきちんとすること、体力を落とさないこと。

腸管出血性大腸菌感染予防の五カ条

これらの項目をきちんと守ることで、感染しないようにするのが理想です。


しかし、それでも食べてしまうことはありますよね、山形のだんご屋さんの柏餅やみたらし団子で感染した騒ぎ、あれは誰も予想できなかった感染でした。

生肉や生野菜ならともかく、お菓子屋さんの作っている和菓子でO157に感染するなんて。

と言うことでそういう不測の事態に備えて有効(かもしれない)方法をお伝えしておきます。


ビフィズス菌を毎日摂取するようにすればいいのです。

ビフィズス菌が腸を細菌から守る仕組み解明


ビフィズス菌は我々の腸の中に住んでいる善玉菌です。

そのビフィズス菌は善玉菌とも呼ばれるのですが、腸内環境を正常に保つ能力があることが知られています。

「もやしもん」と言う漫画を読むとわかりやすく書いてあるのですが、常在細菌とは我々の皮膚や腸、口の中や鼻の中など、外界と接する場所に住んでいる細菌です。

その常在細菌は宿主の健康状態を健全に保つ能力を持っています。

だって、そうすることで自分の居場所の安定が保たれるわけですから、ヤドカリとイソギンチャクみたいな共生関係が成立するのですね。


上にあげたリンクの先の話はネズミの実験で、人間で試したわけではないのですが、人間でも基本は同じだと思います。

同じ焼き肉屋で同じものを食べても、同じだんご屋の同じ柏餅を食べても、発症する人と発症しない人のいる理由の一つが、その人の腸に住んでいる善玉菌の能力の差かもしれないと思われます。


いいビフィズス菌の入っているサプリメントや発酵食品を毎日食べるか、ビフィズス菌の育ちやすい食生活を心掛けるかが、腸管出血性大腸菌感染症へ感染したときに症状が軽くすむかどうかの重要なカギなのかもしれません。
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2011年06月08日

腸管出血性大腸菌感染症の図解を発見しました。


腸管出血性大腸菌感染症に関するわかりやすい図解がAFPBBニュースに載っていました。

ご紹介させていただきますね。



さすがにプロの図だなあ。

百聞は一見にしかずとも言いますけど、わかりやすい図は何よりです。

私がここで書いていることなんてあまり意味がなかったかもしれません。。。


と、めげないもんね、この図では伝えきれないことだっていっぱいあるはずです。

それにもともとこれはお勉強の備忘録だし(笑)。


図についてちょっと説明しておきます。

この図では牛の絵が描いてあって、乳製品や牛肉がそれに連なって書いてあるのはわかるとして、どうして野菜が描いてあるのでしょうか?

それは今年、2011年の5月にヨーロッパで発生したO104のアウトブレイクにも関係しますし、1997年に大阪で発生したO157のアウトブレイクにも関連します。

野菜のたい肥や、モヤシやカイワレダイコンなどの発芽製品の種を育てる環境には、牛フンが混ざっていることが多いので、O157などの腸管出血性大腸菌が混ざっていることが多いのです。

それが野菜についてきて、ほんの少しの細菌を食べてしまっただけでも発症するらしいので、野菜も危険なんですね。

もちろん、O157を常に保菌している動物は牛さんです。

彼らの腸管上皮にはベロ毒素の受容体がほとんど発現していないので、毒にやられないのです。

だから、彼らにとってみればただの大腸菌なのでお腹の中にも、糞の中にもO157がたくさんいても当たり前というわけです。
posted by HUS-EHEC at 16:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 腸管出血性大腸菌について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

腸管出血性大腸菌EHECとVTECとSTECの違い

O157、O111、O104のニュースを日本語だけじゃなくて英語で見ていると、英語ではEHECじゃなくてSTECやVTECと表現する場合が多いようです。

なんでそうなるの?

自分でいろいろ調べていて気になったので大腸菌の呼び方について書いておきます。


EHECとは enterohemorrhagic E.coli:EHEC 腸管出血性大腸菌

VTECとは Verotoxin producing E. coli ; VTEC ベロ毒素産生性大腸菌

STECとは Shiga toxin producing E. coli:STEC 志賀毒素産生性大腸菌


全部同じ細菌群を指すと考えていただいてよいですが、厳密に言えば違います。

EHEC ⊃ VTEC ⊃ STEC

EHECは臨床症状からの区分です。
O157もO111もO026もO104も全部含みます。

VTECは毒素の性質からの区分です。
ベロ細胞と言う培養細胞を殺す毒素を産生する大腸菌と言う意味です。
EHECはすべてベロ毒を持つので、EHECとほぼ同義です。

STECは志賀毒素を産生する大腸菌を指します。
志賀毒素はもともと赤痢菌の持っていた毒素で志賀清が発見したものです。
これはベロ毒素の過半数を占めますが、志賀毒素以外にもベロ毒素はあります。


で、どうして日本語だと腸管出血性大腸菌EHECと言う表現が多くて英語だとSTECが目立つのか?

症状から行けばEHECの方があっていて、STECは科学者よりの内容なのに・・・

と思ってたら、どうも一般向けのニュースでは英語のマスコミもEHECと言う方が多くて、微生物学研究者のコメントが付いてくるとSTECになり易いみたいです。

これからEHECの方をよく見るようになるのかもしれません。



おまけ

O157に関して言えば、以前は「病原性大腸菌」と言う言い方をしていました。

でも、病原性大腸菌と言えばさらに大きなくくりになるんですね。

病原性大腸菌は4種類に分類されます。

病原血清型大腸菌:Enteropathogenic E. coli(EPEC)

組織侵入性大腸菌:Enteroinvasive E. coli(EIEC)

毒素原性大腸菌:Enterotoxigenic E. coli(ETEC)

ベロ毒素産生性大腸菌:Verotoxin producing E. coli(VTEC)


ああ、もう、めんどくさいなあ。(^_^;)


・・・とか思ってたらさらにめんどくさいことに、4種類じゃなくて5種類だったんです。

1987年に発見された5番目の病原性大腸菌は

腸管凝集性大腸菌(EAEC)あるいは腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)と言います。

これについては実はヨーロッパのO104の本体であることもわかったので、別のブログを作って説明しています。(それが上のリンクです。)  



閑話休題

子どもの頃にO157と言えば、大阪で給食か何かですごいアウトブレイクが出て、死者もけっこう出たことがありました。

あのときは「病原性大腸菌O157」と言う覚え方をしてましたね。

小学校でドッジボールやりながら、誰かが「おー!」って声を上げると「いちごーななーっ!」って返したりしてました。

・・・してませんでしたか?(・ω・;)(;・ω・)
posted by HUS-EHEC at 00:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 腸管出血性大腸菌について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月06日

溶血性大腸菌とは? 出血性大腸菌とは?

溶血性大腸菌とは? 出血性大腸菌とは?


溶血性大腸菌とは何か、出血性大腸菌とは何かということですが、これはどちらも同じものを指します。


どちらも正確には

腸管出血性大腸菌(O157やO111やO104)」のことです。

また、この菌に感染して重症化するとなってしまう、

溶血性尿毒症症候群(HUS)」ともごっちゃになっていますね。


大腸菌はわれわれのお腹の中に普通にいて、本来は無害だったのですが、

赤痢菌の毒素をもらって凶悪な病原菌になったのがO157などです。


この大腸菌に汚染された食べ物を食べてしまうと高い確率でお腹を壊して、

しかも腸管上皮がはがれて血が出て、出血性の下痢になります。

真っ赤な下痢が出るので「出血性大腸菌」と言うわけです。


重症化すると毒素で腎臓がやられます。

腎臓がやられるとそこで血液も壊されてしまいます。

赤血球が溶血するので「溶血性大腸菌」と言うわけです。

(いや、正確には言いませんよ(^_^;))


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2011年06月04日

腸管出血性大腸菌への感染予防のために守るべき5カ条

腸管出血性大腸菌への感染予防のために守るべき5カ条

アメリカのCDCから出ているものを翻訳して日本向けにアレンジしました。
原文も載せておきますね。

1.手を洗いましょう。徹底して。

 トイレに行ったら、あるいは赤ちゃんのおむつを替えたら必ず手を洗いましょう。そして食物を調理する前に、食べる前にも手を洗いましょう。これは徹底してください。

他に忘れがちなのは、動物を触った後で手を洗うことです。動物そのものに触った場合はもちろんのこと、動物を飼育している環境に行った後は必ず(農場、ふれあい動物園、フェア、あなた自身の庭の犬を飼っているスペースでさえ)、手を洗ってください。

犬を含めて動物を室内で飼っている人は、食事の調理の前や食事の前に手を洗って、食事中にペットと触れ合うことも避けましょう。


2.肉は必ず十分に加熱調理してください。

たたいたり針を刺して筋肉線維を柔らかくした肉や、牛挽肉の場合は、少なくとも摂氏70度まで加熱調理されるべきです。

(肉を叩く行為は筋肉線維を断裂させて柔らかく食べ易くできるのですが、同時に肉を破壊するので細菌が中に入り易くなります。
 Youtubeで見たことがあるのですが、ある焼き肉屋さんでは牛タンの塊を従業員が調理場の床に何度も叩きつけて柔らかくしていました。保健所の指導が入ってもうやっていないということですが、牛タンを含めて焼き肉は、たとえ焼き過ぎて固くなったとしても必ずウェルダンで食べるべきです。)

ハンバーグなどの場合、表面だけでなく、中心部の温度が70度まであげられるように注意すべきですし、「サイコロカットステーキ」とか「フレアーステーキ」と呼ばれる安い寄せ集め肉のステーキ(薄い横隔膜の肉や小さな屑肉をプレスしてステーキ肉の様に固めたもの)もハンバーグと同じと考えてウェルダンで調理するべきです。

理想を言えば、温度計で肉の中心部の温度を計測すべきです、見た目だけでは温度は判断できません。(日本の家庭では無理ですよね。)


3.生搾りは避けましょう

 生の牛乳や非加熱の牛乳、非加熱、非ろかジュースを飲むのは避けてください。

 果物ジュースであっても目の前で果物を切って絞ってくれる場合は大丈夫かと思いますが、絞って時間が立ったものはダメです。
 しぼりたてジュースを冷凍していたものを解凍して飲むのもできるだけ避けてください。冷凍しても大腸菌は死にません。


4.水遊び・泳ぐときには水を飲まないように

 湖、池、小川、などで泳いだり水遊びをするときには水を飲まないように気をつけましょう。自宅の庭のプールで遊ぶ時にも注意してください(日本ではほとんど関係ないです、学校などの公営プールは高濃度の消毒剤入りですからまず大丈夫です)。

 日本の場合、注意すべきは水遊びのプールや砂場でのままごと遊びなどですね。濡れた状態や泥んこの状態でお菓子を食べたり、ジュースを飲んだりしないように保護者が気をつけましょう。

 3歳児以下の場合は何でもやります。
 うちの弟は1歳過ぎの頃に公園の水たまりの水を猫が飲んでいるのを見て並んで飲もうとしましたから・・・。


5.生肉の調理は別扱いで

 焼き肉屋のチェーン店でO111感染した例からも明らかなように、生肉は大腸菌の感染源である可能性があります。

 調理する時に生肉を触るのは避けられませんから、生の肉に手を出した後、徹底的に手、カウンター、まな板と用具を洗うことによって、調理エリアでの他の食べ物や食器への大腸菌汚染を避けてください。

 注意しておきたいのはテーブルで行う焼き肉です。生肉を扱うのはそれ専用のトングや菜箸にすることは当然ながら、それを各自のお皿に取り分けるときには、別のお箸やトングを使うことを忘れないようにしてください。

 焼き肉奉行のお母さんはしばしば焼くことにばかり集中するあまり、焼き肉をつまんで乗せたそのトングで焼き上がった肉を拾い上げて子供のお皿に放り込んだりします。これは非常に危険です。


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posted by HUS-EHEC at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 腸管出血性大腸菌について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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