2011年06月08日

腸管出血性大腸菌感染症の図解を発見しました。


腸管出血性大腸菌感染症に関するわかりやすい図解がAFPBBニュースに載っていました。

ご紹介させていただきますね。



さすがにプロの図だなあ。

百聞は一見にしかずとも言いますけど、わかりやすい図は何よりです。

私がここで書いていることなんてあまり意味がなかったかもしれません。。。


と、めげないもんね、この図では伝えきれないことだっていっぱいあるはずです。

それにもともとこれはお勉強の備忘録だし(笑)。


図についてちょっと説明しておきます。

この図では牛の絵が描いてあって、乳製品や牛肉がそれに連なって書いてあるのはわかるとして、どうして野菜が描いてあるのでしょうか?

それは今年、2011年の5月にヨーロッパで発生したO104のアウトブレイクにも関係しますし、1997年に大阪で発生したO157のアウトブレイクにも関連します。

野菜のたい肥や、モヤシやカイワレダイコンなどの発芽製品の種を育てる環境には、牛フンが混ざっていることが多いので、O157などの腸管出血性大腸菌が混ざっていることが多いのです。

それが野菜についてきて、ほんの少しの細菌を食べてしまっただけでも発症するらしいので、野菜も危険なんですね。

もちろん、O157を常に保菌している動物は牛さんです。

彼らの腸管上皮にはベロ毒素の受容体がほとんど発現していないので、毒にやられないのです。

だから、彼らにとってみればただの大腸菌なのでお腹の中にも、糞の中にもO157がたくさんいても当たり前というわけです。
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腸管出血性大腸菌EHECとVTECとSTECの違い

O157、O111、O104のニュースを日本語だけじゃなくて英語で見ていると、英語ではEHECじゃなくてSTECやVTECと表現する場合が多いようです。

なんでそうなるの?

自分でいろいろ調べていて気になったので大腸菌の呼び方について書いておきます。


EHECとは enterohemorrhagic E.coli:EHEC 腸管出血性大腸菌

VTECとは Verotoxin producing E. coli ; VTEC ベロ毒素産生性大腸菌

STECとは Shiga toxin producing E. coli:STEC 志賀毒素産生性大腸菌


全部同じ細菌群を指すと考えていただいてよいですが、厳密に言えば違います。

EHEC ⊃ VTEC ⊃ STEC

EHECは臨床症状からの区分です。
O157もO111もO026もO104も全部含みます。

VTECは毒素の性質からの区分です。
ベロ細胞と言う培養細胞を殺す毒素を産生する大腸菌と言う意味です。
EHECはすべてベロ毒を持つので、EHECとほぼ同義です。

STECは志賀毒素を産生する大腸菌を指します。
志賀毒素はもともと赤痢菌の持っていた毒素で志賀清が発見したものです。
これはベロ毒素の過半数を占めますが、志賀毒素以外にもベロ毒素はあります。


で、どうして日本語だと腸管出血性大腸菌EHECと言う表現が多くて英語だとSTECが目立つのか?

症状から行けばEHECの方があっていて、STECは科学者よりの内容なのに・・・

と思ってたら、どうも一般向けのニュースでは英語のマスコミもEHECと言う方が多くて、微生物学研究者のコメントが付いてくるとSTECになり易いみたいです。

これからEHECの方をよく見るようになるのかもしれません。



おまけ

O157に関して言えば、以前は「病原性大腸菌」と言う言い方をしていました。

でも、病原性大腸菌と言えばさらに大きなくくりになるんですね。

病原性大腸菌は4種類に分類されます。

病原血清型大腸菌:Enteropathogenic E. coli(EPEC)

組織侵入性大腸菌:Enteroinvasive E. coli(EIEC)

毒素原性大腸菌:Enterotoxigenic E. coli(ETEC)

ベロ毒素産生性大腸菌:Verotoxin producing E. coli(VTEC)


ああ、もう、めんどくさいなあ。(^_^;)


・・・とか思ってたらさらにめんどくさいことに、4種類じゃなくて5種類だったんです。

1987年に発見された5番目の病原性大腸菌は

腸管凝集性大腸菌(EAEC)あるいは腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)と言います。

これについては実はヨーロッパのO104の本体であることもわかったので、別のブログを作って説明しています。(それが上のリンクです。)  



閑話休題

子どもの頃にO157と言えば、大阪で給食か何かですごいアウトブレイクが出て、死者もけっこう出たことがありました。

あのときは「病原性大腸菌O157」と言う覚え方をしてましたね。

小学校でドッジボールやりながら、誰かが「おー!」って声を上げると「いちごーななーっ!」って返したりしてました。

・・・してませんでしたか?(・ω・;)(;・ω・)
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2011年06月07日

溶血性尿毒症症候群(HUS)に女性はなりやすいのです。

ヨーロッパのO104には女性がかかりやすいのかという疑問から、溶血性尿毒症症候群の統計を調べたのが前の記事です。

前の記事が長すぎたので分けましたが、統計の詳細は前の記事を見てください。

 ⇒O104の特徴「女性で発症者が多い」


ここではまとめと私の意見を述べます。

以上の2008年から2010年の日本でのHUSの臨床統計を全部比較して見てわかるのは、

1.毎年4000例以上の腸管出血性大腸菌感染症が認められていること

2.感染確認者の約70%が有症者である(下痢など何らかの症状がある)こと

3.有症者の3%強(30人に1人)がHUSを発症していること

4.男女比はおよそ1:1.6で、女性にHUS発症者が多いこと

5.HUSの発症者は小児が圧倒的に多いこと

でしょうか。


EHEC感染者の中での男女比は、ここで見つけた統計ではわかりません。

ですが、HUSを発症している人(重症化している人)は明らかに女性の方が多いことがわかります。


ということは、新型である理由の一つのように騒がれているヨーロッパのO104が女性患者が多いということ、これは新型の特性ではないのではないかと思えます。

なぜなら、上にあげたようにふつうのO157感染症でもHUSになり易いのは女性であり、成人の場合はさらに女性が多いことがわかります。

もともと「成人では、古典的なEHECであるO157の感染が重症化し易いのは女性」と考えていいのです。


ヨーロッパのO104感染の場合、有症者の30%以上がHUSになっているということからすると、重症化率が高い強烈なEHECであることは間違いない。

そんな菌に感染すれば、もともとのO157の持っていた「成人では、古典的なEHECであるO157の感染が重症化し易いのは女性」という状況がより濃く反映されるだけなのです。


ということで、O104が新型である理由の一つに女性が発症しやすいというのは、これ、過去の疫学統計を良くみてない医療関係者の勘違いだと思います。

もちろん、女性が男性よりもさらに気をつけるべきであることには違いありません、ただし、O104に限らず、O157なども含めたEHEC全体について気をつけるべきです。


どうして女性で発症者が多いのかですが、シンプルに思いつくのは解剖学的な違いです。

女性は尿道口が肛門に近く、尿道も短いためにさまざまな細菌感染による尿道感染が起こりやすいのです。

腎盂腎炎の発症比率は男女比1:30という統計もあります。

と言うことから、汚い話で申し訳ありませんが、下痢便による尿道感染から腎臓内の上皮細胞や血管内皮細胞にEHECが取り付く可能性もあるのではないでしょうか?


そうでないよ、EHECによるHUSは血行性に流れ込んだ毒素によるものだよ、というのであれば、

腎臓の毛細血管内皮に発現しているベロ毒素の受容体となる分子の発現量に男女差がある(女性で多く発現している)のではないでしょうかね。

妊娠中に上昇する血流はかなりのものですから、もともと女性の方が腎機能は強くできているのではないでしょうか?

それで高性能な毛細血管内皮となっているのが徒となって毒素が入ってきたときにたくさん取り込んでしまい易いと。

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新型腸管出血性大腸菌O104の特徴「女性で発症者が多い」?

ドイツで流行中の新型大腸菌O104の報道で、それが新型だと言われる理由の一つに気になることがありました。

成人が発症しやすいことと、女性が発症しやすいことです。

これまでに発症したとされる人の86%が成人で、66%は女性なんだそうです。

このO104にどうして成人が感染して発症しやすいのか、どうして女性がそうなり易いのかについてはまだ分からないそうです。


それって、じゃあ、これまでよく知られていたO157ではどうなんだろうか?

そして、HUSに限って言えばどうなんだろうか?

そういう疑問が頭をもたげてきましたので、国内でO157感染症の発症症例数や男女比などを調べてみました。


国立感染症研究所感染症情報センターのホームページにデータがありました。

2010年の疫学統計データですね。

感染症発生動向調査からみた腸管出血性大腸菌感染症における溶血性尿毒症症候群、2010年

長いので関連する部分をピックアップしてみます。

HUS発生状況
感染症発生動向調査に基づき2010年(診断週が2010年第1〜52週)にはEHEC感染症は4,134例(うち有症状者2,719例:66%)の報告があり(2011年4月27日現在)、HUSの記載があったのは92例(有症状者のうち3.4%)で、報告数および発症率は2008年と同様であった。
性別は男性36例、女性56例で女性が多かった(1:1.6)。


HUS感染者は4300人以上も報告されていたのですね。

そのうち有症者は2719例で、さらにそのうち92例がHUSを発症しています。

そして男女比で見ると女性が多いですね。

そして、これがグラフにされているのを見てぎょっとしました、これ見てください。

df375e1.gif

おわかりでしょうか、成人に限ってみれば、HUS患者のほとんどが女性なのです。

標準的なO157に感染した場合でも、成人の場合、女性が重症化し易いという傾向があると言うことではないでしょうか?


気になったので2009年と2008年の統計データも視てみました。

2009年にはEHEC感染症は3,888例(有症状者2,607例)の報告があり、 HUSの記載があったのは83例(有症状者のうち3.2%)だそうです。

このうち、女性の比率をと探してみたところ、31:52=1:1.67となり、2010年と同様に女性の方がHUSを発症しやすいようです。

df364f1.gif

残念ながら2009年の年齢別統計グラフには男女の内訳は記載されていませんでした。


さらに2008年についてみると、

EHEC感染症4,322例中、HUSの記載があったのは94例(有症状者の3.3%)で(表)、 2006年102例(同4.1%)、2007年129例(同4.2%)2) と比較して、報告数は少なく、発症率は低かった。性別は男性39例、女性55例で女性が多かった。

と言う記載でした。

dt35111.gif

そしてこの年も残念ながら、年齢別の男女比は報告されていませんでした。


で、結論と言うか推測ですが、長くなり過ぎなので次の記事に続きます。

 ⇒溶血性尿毒症症候群(HUS)に女性はもともとなりやすい

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2011年06月06日

ヨーロッパの新型腸管出血性大腸菌O104によるHUS発症者は拡大の一途との報道

ドイツ北部を中心に感染が拡大しているEHEC(腸管出血性大腸菌)O104について、ニュースを読めば読むほどこれ、怖いですね。

怖さの理由はいくつかありますが、ひとつは感染力が強いことです。

これはどうも、血管内皮細胞と言う、血管の内側を覆っている細胞にくっつく力が強いようだということが理由の一つのようです。

HUSに関する説明の中で書く予定ですが、EHECが作りだす毒素は血管内皮細胞にくっついて細胞内に取り込まれてタンパク合成経路を遮断してしまうのです。

さらに、この新型O104というEHECは、血管内皮細胞にくっつき易い物質の遺伝子配列も持ってるようなのです。

だから体の中に入ってしまうとHUSを発症する人がO157などに比べて多くなるわけです。


***ここからYahoo!ニュースです***

欧州で大腸菌感染の死者増え19人、発症は2千人以上

CNN.co.jp 6月5日(日)16時21分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110605-00000015-cnn-int

(CNN) 欧州で拡大している病原性大腸菌の感染問題で、世界保健機関(WHO)は3日、犠牲者は19人、感染者は少なくとも12カ国で2000人以上に達したと報告した。感染のピーク時の終了については判断出来る段階でないとの見解も示した。

死亡者はドイツで18人、スウェーデンで1人。ドイツでは12人が溶血性尿毒症症候群(HUS)に、6人が腸管出血性大腸菌(EHEC)に感染して死亡した。WHOによると、ドイツでのHUSの発症例は計573件。過去に世界で記録されたHUS感染の流行での件数を上回る規模となっている。EHECのみの発症例は推定で計1428件。

***ここまでYahoo!ニュースです***

WHOの発表でもう一つ怖いのが、このO104は多剤耐性であることです。

アミノグリコシド系とかβラクタム環開裂系とか、いくつかの抗生剤への耐性遺伝子を持っているようなのです。

だから、治療も難しい。


もっとも、もともとこういう毒素を産生するような細菌感染症の場合、抗生物質を簡単に使うわけにはいかないのです。

なぜなら、強い抗生剤を使うと細菌が一斉に死ぬことで細胞の中から様々な毒素が一斉に溢れ出してきて、それが凝固系を破壊してDIC(播種性血管内凝固症候群)という状態を導き出すことがあるからです。

だから菌を殺すと言うよりも大人しくさせる抗生剤の方が好ましいのですが、それに対する耐性を持っているという困った大腸菌なのですね。


ではどうすればいいのか、感染源は野菜ではないかと言われています。

***ここからYahoo!ニュースです***

発症例はオーストリア、チェコ、デンマーク、フランス、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スイスと英国で報告されている。感染源は特定されていないが、スペインで有機栽培されたキュウリで菌が検出され、このキュウリがドイツでパック詰めされ、欧州諸国に出荷されたとの情報もあった。

ドイツの疾病対策の連邦機関、ロベルト・コッホ研究所は国内消費者に生のトマト、キュウリやレタスを食べないよう勧告。米食品医薬品局はドイツやスペインから輸入されたこれらの野菜3品を国内販売の前に検査し、結果を欧州連合(EU)にも伝える方針。

***ここまでYahoo!ニュースです***


ヨーロッパに行ったら生野菜、サラダを食べないようにしてください。

肉料理の付け合わせにフレッシュトマトやレタスがついてきても、それも食べないでください、と言うよりもそういう料理が出てきたら再加熱してもらってください。

ヨーロッパに行って焼き加減を聞かれたら、

「Everything welldone, please.」

でいきましょう♪


・・・・行きたいけど旅費がたまらない〜(^_^;)。
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溶血性大腸菌とは? 出血性大腸菌とは?

溶血性大腸菌とは? 出血性大腸菌とは?


溶血性大腸菌とは何か、出血性大腸菌とは何かということですが、これはどちらも同じものを指します。


どちらも正確には

腸管出血性大腸菌(O157やO111やO104)」のことです。

また、この菌に感染して重症化するとなってしまう、

溶血性尿毒症症候群(HUS)」ともごっちゃになっていますね。


大腸菌はわれわれのお腹の中に普通にいて、本来は無害だったのですが、

赤痢菌の毒素をもらって凶悪な病原菌になったのがO157などです。


この大腸菌に汚染された食べ物を食べてしまうと高い確率でお腹を壊して、

しかも腸管上皮がはがれて血が出て、出血性の下痢になります。

真っ赤な下痢が出るので「出血性大腸菌」と言うわけです。


重症化すると毒素で腎臓がやられます。

腎臓がやられるとそこで血液も壊されてしまいます。

赤血球が溶血するので「溶血性大腸菌」と言うわけです。

(いや、正確には言いませんよ(^_^;))


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2011年06月05日

溶血性尿毒症症候群(HUS)の診断はどうやってされるの?

診断について書くと

「定義」を書け! 他のことはいらん!

と怒鳴る怖い先生もいますので、まずはHUSの医学的定義を書いてみます。

@3主徴
1)溶血性貧血⇒破砕状赤血球を伴う貧血でHb10g/dl以下
2)血小板減少⇒血小板数10万/μl以下
3)急性腎機能障害⇒血清クレアチニン濃度が年齢別基準値の97.5%値以上で各個人の健常時の値の1.5倍以上

A随伴する症状
1)中枢神経症状⇒意識障害・痙攣・頭痛など。HUS発症直後に急性脳症を合併することがある。
2)その他⇒肝機能障害(トランスアミラーゼの上昇)、肝内胆管・胆嚢結石・膵炎・DICを合併することがある。


でも、こんなこと、ここで書いても誰も喜ばないですよね。

医学生の試験対策ならこんなサイト見ないだろうし(笑)。


重要なのは前の記事の
溶血性尿毒症症候群 (HUS)と腎不全の兆候と症状
に書いたHUSの兆候や症状です。

全部がそろってはじめてHUSだというわけではありません。

二つ以上あれば病院に連れて行ってください。

もしもどれか一つでも気がついたら、それから24時間は注意深く観察してください。

もしもその子がEHEC(腸管出血性大腸炎)に感染した可能性が高いとわかっているのであれば、ひとつでも見つけたらすぐに連れて行ってもかまいません。


医者の方はその子の病歴や消化管症状などからHUSを疑った場合、血液検査をします。

赤血球が壊れているかどうかはそれで簡単にわかりますので、赤血球の形がおかしくないか、血小板がすごく減ってないかという項目を調べればすぐに「HUS疑い」の診断がつきます。

(それが溶血性貧血が起こっているかということです)


そこからさらに尿や血液検査で腎機能がどの程度障害されているかを調べます。

尿検査や、血中クレアチニンの数値などから腎障害の程度が推測できます。


もしもHUSが疑われた場合には「腎透析」の準備をしながら入院を促します。

腎透析の設備がない診療所などの場合はすみやかに設備のある病院が紹介されるでしょう。


HUSの致死率は数%で、いかに迅速に対処できるかが生死の境目だと言われます。
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溶血性尿毒症症候群 (HUS)と腎不全の兆候と症状


HUSを発症した子供は青白く、ぐったり疲れていて、機嫌が悪くなります。
(病気の子どものあたりまえですね^^;)

意識障害やけいれんに進むことも少なくありません。

他の兆候としては鼻血や血痰、皮下出血などが認められることがあります。

これはHUSでは大量の血小板が消費されてしまい、普通なら止まるような小さな傷からの出血が止まらなくなることが原因です。

通常、HUSのこういう兆候や症状は消化管感染の症状が見つかってから一週間以上後になって起こってきます。


HUSの状態になると、半分以上の患者さんが急性腎不全の状態に陥ります。
(全員が腎不全の状態になるわけではないのです。)

腎不全になればおしっこの量が急速に減りますし、目で見てわかる血尿が出ることもあります。

毒素で傷ついた腎臓の毛細血管に赤血球が詰まって崩壊し、さらに赤血球が血の塊となって詰まっていきます。

これを取り除くために腎臓はフル活動します。

血の塊や貯留した水分を取り除いて血流をスムースにするために、血液内の水分は外に出されます。そうすると身体の方には過剰に水分がたまります、これが高血圧を引き起こしますし、顔や手足に始まって、全身がむくんで膨らんで行きます。


両親や保護者はこれらの兆候を初期から見逃さないでください。

もしも子供がお腹を壊したあとで、突然鼻血を出したり、血が止まりにくかったり、手足や顔が急にむくんできたり、おしっこに行ってる様子がなかったり、あるいはすごくしんどそうにしているようなら、速やかに医療機関を受診させてください。

特に、おしっこが全然出ない状態の場合は大至急救急診療を受診してください。


一般的に、O157感染症の場合のHUS発症率は4〜7%ぐらいです。

それが2008年から2010年までの3年ぐらいの常識です。

O111の場合は10〜20%の人がHUSを発症したということで、何か新型の菌なのではないかと危惧されています。

解析結果はいったいいつ出るのでしょうね???
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2011年06月04日

腸管出血性大腸菌への感染予防のために守るべき5カ条

腸管出血性大腸菌への感染予防のために守るべき5カ条

アメリカのCDCから出ているものを翻訳して日本向けにアレンジしました。
原文も載せておきますね。

1.手を洗いましょう。徹底して。

 トイレに行ったら、あるいは赤ちゃんのおむつを替えたら必ず手を洗いましょう。そして食物を調理する前に、食べる前にも手を洗いましょう。これは徹底してください。

他に忘れがちなのは、動物を触った後で手を洗うことです。動物そのものに触った場合はもちろんのこと、動物を飼育している環境に行った後は必ず(農場、ふれあい動物園、フェア、あなた自身の庭の犬を飼っているスペースでさえ)、手を洗ってください。

犬を含めて動物を室内で飼っている人は、食事の調理の前や食事の前に手を洗って、食事中にペットと触れ合うことも避けましょう。


2.肉は必ず十分に加熱調理してください。

たたいたり針を刺して筋肉線維を柔らかくした肉や、牛挽肉の場合は、少なくとも摂氏70度まで加熱調理されるべきです。

(肉を叩く行為は筋肉線維を断裂させて柔らかく食べ易くできるのですが、同時に肉を破壊するので細菌が中に入り易くなります。
 Youtubeで見たことがあるのですが、ある焼き肉屋さんでは牛タンの塊を従業員が調理場の床に何度も叩きつけて柔らかくしていました。保健所の指導が入ってもうやっていないということですが、牛タンを含めて焼き肉は、たとえ焼き過ぎて固くなったとしても必ずウェルダンで食べるべきです。)

ハンバーグなどの場合、表面だけでなく、中心部の温度が70度まであげられるように注意すべきですし、「サイコロカットステーキ」とか「フレアーステーキ」と呼ばれる安い寄せ集め肉のステーキ(薄い横隔膜の肉や小さな屑肉をプレスしてステーキ肉の様に固めたもの)もハンバーグと同じと考えてウェルダンで調理するべきです。

理想を言えば、温度計で肉の中心部の温度を計測すべきです、見た目だけでは温度は判断できません。(日本の家庭では無理ですよね。)


3.生搾りは避けましょう

 生の牛乳や非加熱の牛乳、非加熱、非ろかジュースを飲むのは避けてください。

 果物ジュースであっても目の前で果物を切って絞ってくれる場合は大丈夫かと思いますが、絞って時間が立ったものはダメです。
 しぼりたてジュースを冷凍していたものを解凍して飲むのもできるだけ避けてください。冷凍しても大腸菌は死にません。


4.水遊び・泳ぐときには水を飲まないように

 湖、池、小川、などで泳いだり水遊びをするときには水を飲まないように気をつけましょう。自宅の庭のプールで遊ぶ時にも注意してください(日本ではほとんど関係ないです、学校などの公営プールは高濃度の消毒剤入りですからまず大丈夫です)。

 日本の場合、注意すべきは水遊びのプールや砂場でのままごと遊びなどですね。濡れた状態や泥んこの状態でお菓子を食べたり、ジュースを飲んだりしないように保護者が気をつけましょう。

 3歳児以下の場合は何でもやります。
 うちの弟は1歳過ぎの頃に公園の水たまりの水を猫が飲んでいるのを見て並んで飲もうとしましたから・・・。


5.生肉の調理は別扱いで

 焼き肉屋のチェーン店でO111感染した例からも明らかなように、生肉は大腸菌の感染源である可能性があります。

 調理する時に生肉を触るのは避けられませんから、生の肉に手を出した後、徹底的に手、カウンター、まな板と用具を洗うことによって、調理エリアでの他の食べ物や食器への大腸菌汚染を避けてください。

 注意しておきたいのはテーブルで行う焼き肉です。生肉を扱うのはそれ専用のトングや菜箸にすることは当然ながら、それを各自のお皿に取り分けるときには、別のお箸やトングを使うことを忘れないようにしてください。

 焼き肉奉行のお母さんはしばしば焼くことにばかり集中するあまり、焼き肉をつまんで乗せたそのトングで焼き上がった肉を拾い上げて子供のお皿に放り込んだりします。これは非常に危険です。


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2011年06月03日

なにがHUS(溶血性尿毒症症候群)を引き起こすの?


現在、溶血性尿毒症症候群 (HUS)を引き起こす原因のほとんどは病原性大腸菌が消化管感染することで起こります。

これらの病原性大腸菌は腸管上皮を痛めて出血性の下痢を引き起こすために、腸管出血性大腸菌(EHEC, enterohaemorrhagic E. coli)Escherichia coli (E. coli) と呼ばれます。

EColiCRIS051-Fig2.jpg
WikioediaにあったO157の電子顕微鏡画像です。
O157は条件が整えば、粘液のようなものを出して、これで自分たちに居心地の良いベッドを作りだして繁殖します(右側の画像)。

EHECは腸管に入るとそこで増殖し、ベロ毒素と言われる毒素を産生します。

この毒素が腸管上皮を破壊し、さらには血流に入るのですが、この毒素は腎臓の血管内皮細胞にも非常に取り付き易く、腎臓の毛細血管の内側をガタガタにしてしまいます。

そこで赤血球が引っ掛かって壊れてしまうわけです。


ほとんどの溶血性尿毒症症候群 (HUS)ではその前にO157などの病原性大腸菌による消化管感染症が認められます。

これらの大腸菌が消化管に入る経路は、汚染された食物を食べる場合がほとんどです。

牛は感染しても症状が出ないことから腸の常在菌となっていることが多くて、牛肉が多いのですが、汚染された食物であれば何でもありです。

怖いのは感染動物や感染者の糞便で汚染されたプールや池で泳ぐことによる感染です。

日本ではまず心配いらないと思いますけど・・・。


子供が感染した場合の主な症状は、激しい腹痛、吐き気、おう吐、出血性の下痢ですね。

でも、大部分の子どもはこれらの出血性の下痢にまで至っても2,3日で回復できて、HUSになることはめったにないのが2010年ごろまでの通例でした。

今年、2011年に焼き肉酒屋えびすのユッケで感染したO111は高い確率でHUSが発症すると話題になりましたが、その一か月後からヨーロッパで拡大しているO104はそれどころではなさそうです。


ちなみに、初めてO157などの腸管出血性大腸菌EHECの存在が確認されたのは1984年のことです。
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